株式会社チェンジ・マネジメント・コンサルティング
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ファシリテーション研修


ファシリテーションとは

ファシリテーションとは、「プロセスに働きかけてインタラクティブに問題解決を促すこと」と私達は考えています。「プロセスに働きかける」というのは、問いかけたり、フレームワークを使って思考や行動を促すことで、補助線を引くことはあっても、直接答え(コンテンツ)を提供する行為ではありません。

長年の経験から、ファシリテーションでは、事前のプロセスデザインが非常に重要だと私達は考えています。ワークショップや会議の結果何を得たいのかを見据え、メンバーの顔を思い浮かべ、どういう順番でどのように問いかけ、触発し、議論をかみ合せていくのが最も効果的か。そのときのメンバーからの反応を予測し、いろいろなケースに対応できるように準備します。このプロセスデザインの稚拙が成果の6割を決めると言っても過言ではないでしょう。

スタートしたら、「集団思考の落し穴」に落ち込まないように「場をコントロール」する必要があります。この「落し穴」とは、声の大きい人や場の雰囲気に引きずられる、自分だけサボってもいいだろうと手抜きをする、感情的な対立など、集団で考えるときのディメリットを指します。いろいろなスキルがありますが、ファシリテーターがメンバーからどれだけ信頼されているかという点が大きな要素です。

「的確な質問ほど人の頭を効果的に使う方法はない」と私たちは考えています。質問力はファシリテーターにとって必要不可欠な要件です。その延長上に数々のフレームワークと言われるものがあります。口頭で議論する「空中戦」を避け、絵や文字を使って「地上戦」に展開することも議論をかみ合わせるための重要なスキルです。

こうして合意形成を促すのですが、私達は「行動の変化」をファシリテーションの最終的な着地点と考えています。それが如何に効果的にすばやく達成されるか、そこにファシリテーションの意義があると考えています。

(株)チェンジ・マネジメント・コンサルティングでは、このような考え方にしたがって、実践的なファシリテーション研修を提供します。

なぜファシリテーションが必要か

ファシリテーションは、効果的な会議を進める手法と理解されている方が多いと思います。実際、そういう側面はありますが、むしろ買収後の事業統合や組織開発・風土変革の中核スキルとしての側面や、アクションラーニングや学習する組織、すなわち人と組織の能力アップを支える基本スキルという面が重要です。

事業統合や組織開発・風土変革の中核スキル
欧米の先進企業では、ファシリテーションスキルを体系化し、事業統合や組織開発に活用しています。例えば、被買収事業に入っていき事業統合を進めるとき、相手の意見を聴きながらも迅速に統合を進める手法は、M&Aの成否を左右するものです。不採算事業の建て直し、子会社の組織力強化、組織開発や風土変革のさまざまな場面で、ファシリテーションが活かされています。(株)チェンジ・マネジメント・コンサルティングのリーダーシップ研修でもこれらの手法を学ぶことができます。

アクションラーニングや学習する組織を支える基本スキル
最近アクションラーニングにはいろいろな流派が生まれているようですが、1945年にアクションラーニングという考えを最初に提唱した英国サルフォード大学のレジ・レバンズ教授の概念は単純明快です。
(1)グループで実際の問題解決に取り組む、
(2)ファシリテーターをおき、ときどき自分達の問題解決(思考)プロセスを客観的に観察し改善する。

こうしてメンバーは、自らの思考力を高めていくのですが、そこではファシリテーションが基本スキルになっていることがおわかり頂けると思います。
アクションラーニングは、その後、MITの教授、ピーター・M・センゲらが提唱する学習する組織(Learning Organization)に繋がる重要な概念となっています。

ファシリテーションは時代の要請
今日の問題解決は、業務横断的な取り組みが不可欠になってきました。そこでは職位の力で仕事を進めることはできません。またメンバーそれぞれが出元の組織の利益代表者では業務横断的プロジェクトは旨く機能しません。このようなクロスファンクショナルなプロジェクト運営ではファシリテーションは不可欠なスキルなのです。

価値観の多様化が進み、今や社員が職場を選ぶ時代になってきました。すなわち従業員の意識の変化が起こっています。彼(女)らは透明性の高い組織運営を求め、「従来型の黙ってついて来い」「会社のルールだ」といった仕事のやり方では満足しなくなってきているようです。彼(女)らの考えを汲み取りながら運営を進めるファシリテーションスキルがリーダーに求められているように思います。

ファシリテーションは時代の要請

1日コース
初心者向けのファシリテーションに関する理解を深めていただくためのコースです。①プロセスデザイン、②場のコントロール、③触発し・かみ合せる、という基本概念を学び、簡単なケースを通じた演習を行います。

2~3日コース
クライアントの直面している現場の問題を持ち込んでいただきます。実際に問題を解決する中で実践的なファシリテーションを身につける実践的なコースです。同じ課題を共有するグループ(5~6名以上、最大30名まで)を対象とします。課題の種類は問いません。組織管理、製造、営業、マーケティング、事業企画、技術開発など、何でもよいが、日ごろ困っている実際の問題を持ち込んでください。


アイスブレークは心の柔軟体操

2003年の11月に発足間もないNPO法人)日本ファシリテーション協会の定例会で、アイスブレーク百番勝負という企画を行った。その仕込みのために筆者と数名のボランティアで調べた。Ice breakと英語表記で検索すると何万件ものヒットがあったのに対し、日本語の「アイスブレーク」では2003年11月時点では一件のヒットも得られなかった。そこで、世界のサイトを調べて、代表的なもの数十件を協会のホームページに掲示するようにした。興味のある方は覗いてみられたい。
http://www.faj.or.jp/modules/tinyd2/index.php?id=4

調べてみると、アイスブレークは次のように大きく三種類に分類できることがわかった。
  • ほぐし系
  • 紹介系
  • 悟り系
「ほぐし系」というのは、気分転換や堅苦しさをほぐすことを目的としたもの。「紹介系」というのは、自己あるいは他者を紹介するもの。「悟り系」とは、エクササイズを通じて何か「気づき」を与えようとするものである。

さて、現時点(2006年9月)で「アイスブレーク」とグーグルで調べると、英語で引くと約81,000件ヒットするのに対し、日本語では約63,000件と急激に増加している。この言葉がこの二年間で急速に日本語化したことを示している。

納得の構造

文化人類学者のエドワード・T・ホールが「文化のコンテクスト度」という概念を提示している。図に示すように、人が納得するには情報とコンテクストの両方が必要であり、その割合が文化によって異なるというのがホールの指摘である。日本は典型的な高コンテクスト社会であり、米国などアングロサクソン系の低コンテクスト社会とは対照的であるといわれる。

もともと異文化間の比較から出てきたこの概念が、どのようにファシリテーションと関係するのだろうか。ファシリテーターの進め方にもよるが、フレームワークを多用するタイプの人は知らず知らずのうちに低コンテクストになり、参加者の納得感が低下している可能性があるのだ。筆者の観察では、現場に近い人たちは高コンテクスト、スタッフ系の人たちは低コンテクストになりがちである。低コンテクストの人は、高コンテクストの人たちを「抽象化する能力に乏しい人」と見る傾向があり、逆に高コンテクストの人は低コンテクストの人たちを「うすっぺらな議論だけをする現場を知らない人」と見る傾向があるように思う。

ちなみに、別のページに示したリーダーズ・インテグレーションで最後に「飲み会」が必要としたが、低コンテクスト化するのを避けるための工夫と考えて頂きたい。

最近の脳研究によると、プロセスを共有すると「共感回路」が脳内で働くことが明らかにされているようだ。プロセスの共有とはまさにコンテクストの共有と同義ではないだろうか。

ホールの著書「文化を越えて」には含蓄に富む記述が多い。興味深いポイントを下に引用させて頂く。ご興味のある方は原著を当たってみられたい。

  • 一般的に、コンテクスト度の高いコミュニケーションは、コンテクスト度の低いのとは対照的に、簡潔で、時間がかからず、効果的で充足しているが、プログラミングには時間がかかる。このプログラミングを行わないと、コミュニケーションは不完全なものとなる。
  • コンテクスト度の高いコミュニケーションは芸術として扱われることが多い。そうしたコミュニケーションには、人々を結びつけ、結束させる作用があり、寿命が長く、あまり変化しない。コンテクスト度の低いコミュニケーションは、結びつける作用はなく、変りやすい。(中略)
  • 適応や変化を求める要求(低コンテクスト指向)と、安定を求める要求(高コンテクスト指向)といった、二つの、明らかに対照的な要求のバランスをとるための戦略を開発することができないものだろうか。
  • 歴史を見れば、コンテクスト度の高い様式に、あまりに長い間しがみつきすぎて、適応できなかった国家や組織の例が数多くある。だがその一方、現代におけるコンテクスト度の低い体系の不安定さは、これまで人類が経験しなかったことである。
    出典:エドワード・T・ホール著「文化を超えて」TBSブリタニカ(1979)pp.118-119